「生徒会の一存 碧陽学園生徒会議事録」2008-03-22 Sat 21:10
新ジャンル誕生! ライトノベルの本質は会話文にあり!
すでに今更感の漂いまくる中、それでも敢えて紹介する。これが・岸宗blog・クオリティ(KKQ)! というわけで今回ご紹介するのは08年のヒットレースで予想外のスーパースタートダッシュを見せ、現在ラノベ注目度No1(推定)の「生徒会の一存」です。 キャラクターはとある学園の生徒会メンバー。主人公は副会長の男の子で、その他はロリっ娘の会長、クールビューティの書記など美少女ぞろい。実にギャルゲー的なハーレムシチュエーション。しかし残念ながら主人公自らが高らかに「ハーレム宣言」をしてしまっているために、女の子たちはドン引きでギャルゲー的なニヤニヤ展開にはなりません。 その代わりにギャグ的な意味でのニヤニヤ度はMAXで、最近流行のパロディネタも満載のオタク会話が繰り広げられるため、その手のネタが大好きな人は抱腹絶倒を余儀なくされることでしょう。 そう彼らは生徒会としての仕事はそこそこに、ひたすらオタク会話を繰り広げ、繰り広げ、繰り広げていきます。その他は全然ありません。会話オンリーです。舞台も90%以上が生徒会室。しかしテンポは実に良く、これはもう小説というより文字のコントです。ここまで思い切った作品はこれが初めてではないでしょうか?(不勉強なので断定は出来ませんが。何かの外伝とかだとあるかも…?) まさにラノベ界に新ジャンルを打ち立てた記念すべき作品といえるでしょう。そして、そんなぶっ飛んだ新ジャンルすらも違和感無く内包してしまうラノベという媒体は、もっと凄いですね……。 もちろんそんなただのライトノベルメタな作品というだけであれば、私がここまでプッシュしたりしません。この作品の凄いところはそのメタをさらに自らメタっているところです。主人公たちが「ごめん、これ、どうやらバッドエンドらしいぞ、読者諸君」等と言ってしまうくらいの今風のメタを展開するのに、ラストでそれが実は……と明かされるところなど、壮大さは欠片も無いのになぜか圧倒されてしまいました。 そしてさらに、それすらもメタろうとしている節があるというのがなんとも……。メタがメタを呼びぐるぐると回って混然一体と溶け合う。もうどこが出発点でどこが着地点なのか。構造がここまでカオスな作品ははじめて見ました。 はっきり言って万人にお勧めできません。漫画やラノベなどを読みなれていて、そして好きであることを自覚している人向けです。でもそんな要素が少しでもある人には、絶対に一度は目を通していただきたい作品ですね。 私がこの作品を知ったときは完全な出遅れ、書店に影も形もない状態で、やっと買えたと思ったら第3刷でビックリという大ヒットぶり。いやいやしかし、こんなのはまだ序の口でしょう。さらなるヒットが見込まれる作品です。はたして富士見ファンタジアの救世主となるのか!? 本当に目が離せません。 しかしメディアミックスするとしても、これをちゃんとアニメ化できるのは、“あの”「らき☆すた」をアニメ化した京都アニメーションだけでしょうなあ…。富士見も角川系だし、フルメタも作ってるから充分可能性はあると思いますが、さてどうなりますやら。 |
「ベン・トー - サバの味噌煮290円」2008-03-09 Sun 14:12
闘わざる者、食うべからず!? 異色のアクションコメディ
ライトノベルもネタが飽和して久しく、おっ?と思うようなアイディアの作品はなかなか少なくなってきてしまいました。そんな中で最近人気急上昇中の「バカとテストと召喚獣」なんかは「んなアホな」とツッコミつつも、実にうまいこと考えたなあと感心させられたりします。 そして、この「ベン・トー」もそんな「んなアホな」というアイディアの上でキャラクターが生き生きと動き回る良作です。 主人公は寮暮らしの高校生。しかしその寮は朝食こそ出るものの、昼食夕食は自分で用意しなければならないことになっている。親からの仕送りは少ない。自炊は出来ない(性格的に)。となればスーパーなどの半額弁当を狙わざるを得ない。彼は空腹感を癒すために閉店間際のスーパーへ赴く……、しかしそこは情け無用、弱肉強食のバトルフィールドだった。 残り少ない半額弁当を巡って、「狼」と呼ばれるハンターたちが、スーパーの弁当コーナーで血で血を洗う争いを繰り広げるという、あらすじだけ聞くとまるっきり頭のおかしい人たちの話です。実際「ちょっとどうかな?」という人たちではあるんですが、その滑稽さはそれを上回る無駄な熱さでカバーされ、独特の空気感を形成するに至っています。 目的はライバルを昏倒させてでも半額弁当を手にすること。ただそれだけ。しかし半額シールを張られる前に確保してはならない。自分が食べる量以上の弁当を取ってはいけない。弁当を手にした者を攻撃してはならない等のルールは尊守され、それを破るものは「豚」として蔑まれ、容赦なく排除される。 主人公はそんな恐ろしい戦場と知らずにフラフラと迷い込み、氷結の魔女と呼ばれる美少女に豚として処理され、死に掛け、お情けでもらったソイジョイ一箱でその日を何とか生き延びるわけです。 うん、明らかに何かがおかしい それでも彼らは日々戦い続ける。主人公も生きるために半額弁当を諦められず、幾度も挑戦を続け、成長し、時には共闘し、強敵に打ち勝っていくわけです。……どこのジャンプ漫画だw キャラクターも癖が強く、登場する女の子も最初は「これはヒロインとしてどうよ?」って感じですが、読み終えるころには「ちょっとカッコイイ…(カワイイではないのがポイント)」という印象になり、結構気に入ってしまえる不思議な魅力を持っています。 惜しむらくは、作者がコメディ初挑戦ということで、設定でもキャラでもケレン味をもって表現できていないことでしょうか。なんとももったいないです。特に序盤はただ淡々と状況描写してしまっており、せっかくの設定の面白みが失われてしまっていました。平たく言うとツカミに失敗しているということです。 物語が進行するにつれ、作品の魅力がスルメのようにジンワリと広がってくるので、ツカミさえしっかりしていれば万人にお勧めできるんですけどねぇ。 しかし初挑戦ながらコメディとしてそれなりの内容にまとめてきたことも含め、次卷に期待は持てます。あえて可能性の感じられる(けど今はイマイチな)作家に喜んで特攻するような私の同類(と書いてマゾと読む)には押さえておいていただきたい一作ですw |
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