「ベン・トー - サバの味噌煮290円」2008-03-09 Sun 14:12
闘わざる者、食うべからず!? 異色のアクションコメディ
ライトノベルもネタが飽和して久しく、おっ?と思うようなアイディアの作品はなかなか少なくなってきてしまいました。そんな中で最近人気急上昇中の「バカとテストと召喚獣」なんかは「んなアホな」とツッコミつつも、実にうまいこと考えたなあと感心させられたりします。 そして、この「ベン・トー」もそんな「んなアホな」というアイディアの上でキャラクターが生き生きと動き回る良作です。 主人公は寮暮らしの高校生。しかしその寮は朝食こそ出るものの、昼食夕食は自分で用意しなければならないことになっている。親からの仕送りは少ない。自炊は出来ない(性格的に)。となればスーパーなどの半額弁当を狙わざるを得ない。彼は空腹感を癒すために閉店間際のスーパーへ赴く……、しかしそこは情け無用、弱肉強食のバトルフィールドだった。 残り少ない半額弁当を巡って、「狼」と呼ばれるハンターたちが、スーパーの弁当コーナーで血で血を洗う争いを繰り広げるという、あらすじだけ聞くとまるっきり頭のおかしい人たちの話です。実際「ちょっとどうかな?」という人たちではあるんですが、その滑稽さはそれを上回る無駄な熱さでカバーされ、独特の空気感を形成するに至っています。 目的はライバルを昏倒させてでも半額弁当を手にすること。ただそれだけ。しかし半額シールを張られる前に確保してはならない。自分が食べる量以上の弁当を取ってはいけない。弁当を手にした者を攻撃してはならない等のルールは尊守され、それを破るものは「豚」として蔑まれ、容赦なく排除される。 主人公はそんな恐ろしい戦場と知らずにフラフラと迷い込み、氷結の魔女と呼ばれる美少女に豚として処理され、死に掛け、お情けでもらったソイジョイ一箱でその日を何とか生き延びるわけです。 うん、明らかに何かがおかしい それでも彼らは日々戦い続ける。主人公も生きるために半額弁当を諦められず、幾度も挑戦を続け、成長し、時には共闘し、強敵に打ち勝っていくわけです。……どこのジャンプ漫画だw キャラクターも癖が強く、登場する女の子も最初は「これはヒロインとしてどうよ?」って感じですが、読み終えるころには「ちょっとカッコイイ…(カワイイではないのがポイント)」という印象になり、結構気に入ってしまえる不思議な魅力を持っています。 惜しむらくは、作者がコメディ初挑戦ということで、設定でもキャラでもケレン味をもって表現できていないことでしょうか。なんとももったいないです。特に序盤はただ淡々と状況描写してしまっており、せっかくの設定の面白みが失われてしまっていました。平たく言うとツカミに失敗しているということです。 物語が進行するにつれ、作品の魅力がスルメのようにジンワリと広がってくるので、ツカミさえしっかりしていれば万人にお勧めできるんですけどねぇ。 しかし初挑戦ながらコメディとしてそれなりの内容にまとめてきたことも含め、次卷に期待は持てます。あえて可能性の感じられる(けど今はイマイチな)作家に喜んで特攻するような私の同類(と書いてマゾと読む)には押さえておいていただきたい一作ですw |
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